松本潤一 「一麺入魂」

高校野球から料理の道へ

 生まれは1965年、新潟県燕市。父方の叔父が「まつや食堂」を創業した年に、俺は生まれて、その二階で育ちました。
燕市は、全国的に知られた洋食器や金属加工の産地。今では中国で生産する会社も増えたけれど、当時は工場もフル稼働でしたからね。燕市内のラーメン屋も出前がすごかったんですよ。工場にラーメン50杯出前なんて普通でしたから。燕市のラーメンは出前の歴史。背脂はスープが冷めにくくするための工夫、麺が極太なのも、届くまでにのびて不味くならないために普通とは違う麺をこしらえてある。みんな、先人の知恵、お客様に少しでもうまいものを、と切磋琢磨した結晶なんだと思いますね。

高校は長岡市内の中越高校。その頃は野球が命でした。日本文理高校が2009年の夏、準優勝していちやく全国区になったけれど、それまでは新潟県内では中越高校と新潟明訓が甲子園の常連。俺も三年の夏に甲子園に出場しました。広島商業と対戦して4-5で負けたけど、タイムリー三塁打を打ったんです。いい思い出ですね。 名将と呼ばれた鈴木春祥監督は選手の掌握術が本当にうまくて、今でも社員に対して言うことが先生の言葉と同じだったりすることが多いんです。話していて、「あれ、鈴木先生の言葉だよな」って。高校野球も会社も、組織として目標に立ち向かうという点では共通することが多いと思っています。 俺、本当は、高校を出てからプロ野球選手になりたかったんです。大学は特待生で神奈川大学に入ったんですが、一年で中退しました。プロになる選手を目の当たりにして「こりゃ、無理だ」と思いましたね。その時は人生がすべて終わった感じがしました。

そして大学を辞めてから、食品会社をいくつか受けたんです。人としゃべるのが好きだから、営業がやりたくて。でも全部落ちました。それまでは、ちやほやされてましたから、初めての挫折だったのかな。それで、何も決めずに大阪に行くことにしたんです。駅前の喫茶店、居酒屋、神戸のイタリアンの店にも勤めました。そのうち「ちゃんと修行して店を出したい」と思うようになりましてね。大阪の中華料理店に腰をすえて4年間がんばりました。

最後の1年間は店長として働いていました。25歳の時です。店には昼までに出社すればよかったんだけど、朝8時には必ず出社していましたね。スープをとるところから仕込み全体まで早く覚えたかったんです。かっこよく見えたんですよね、あの鍋をカンカン振る姿が。

26歳で帰郷して、「まつや食堂」で修行しながら、ラーメン屋の開業準備をしました。本当はすぐに店を出したかったんですが、おじさんに「店出す前に1年でいいからここで仕事しろ」と言われましてね。店長をやってましたから、自信はありました。だけど、ここでは何にも役に立たなかったんだけどね。大衆食堂だからメニューは多いし、出前もある。現実を見せてもらった良い機会でした。

だからおじさんには、本当に感謝しています。あのまま突っ走ったら、きっと1年持たずにつぶれてましたね。

7席からのプレイボール

 店を出したのは1992年、27歳の時です。親父がやっと建てた家を改装して、カウンター7席だけのちっちゃな店が完成しました。金はないし、広告なんて何もなし。ただ張り紙1枚「本日、オープンします」だけでね。そうしたら近所の人が来てくれて、売上は8千円くらいだったかな。一番初めのお客さんは、おばあちゃん2人だったんですが、今でもお店に来て下さいます。

がむしゃらでしたね。店を始めて1年間、元旦の半日営業以外は1日も休みませんでした。勉強もしましたね。食べ歩きはもちろん、本も読みました。スーパーやコンビニで食材の流行を見たり。たとえば甘味を出したいという時に、砂糖じゃなくて、酸味を入れて引き出したほうが今のお客様には喜ばれるとかね。酸味も、かんきつ系か、醸造系か。味の感覚は時代とお客様によって違うでしょう。その引き出しがたくさんいるんですよね、今の時代は。

開業してからはお客様に怒られどおしだったんですが、だんだん客席が足りなくなってきて、まず八畳間をつぶして、1年後には1軒まるごと客席に。家族は借家住まいでね。女房と二人で始めた店だけど、親父、おふくろも手伝ってくれました。

2年後には、長岡市に2店目の上除店を出しました。長岡は第二の故郷だからね、うれしかったですよ。高校時代によく通った店があったし、昔から「ラーメン激戦区」として知られていた土地だけど、自信はあったんです。燕のこのラーメンは他にはなかったですからね。

その時にキャッチフレーズとして考えたのが「一麺入魂」。高校野球の「一球入魂」から思いついたんです。ラーメンは語るんですよ。口に合う合わないはあっても、「いい素材を使っている」「丁寧にあく抜きしている」とか、全部味に出るんです。作るほうは百杯、二百杯作ってもお客様にとっては「目の前の一杯」がすべて。九十九杯よくてもその一杯に手を抜いたら、だめなんです。それは絶対にお客様に伝わってしまうから。

80点主義に感動はない

 ここまで順調みたいに見えるけれど、失敗もずいぶんしました。新潟市万代のバスターミナルに出した店が大失敗でね。2000万円以上の借金が残ったんです。製麺を始めたきっかけはそこからでした。東京の業者に週一回通って一から勉強しました。粉の練り方、ローラーの巻き方、おかげで原価を削減した上、より良い粉を使ってお客様に還元することもできました。災い転じて、というけれど、あのおかげで武器をひとつ手にいれたんだなと思います。今ではスープにあわせて5種類の麺を作っています。きめ細かい調整を自分でできるようになったことが、ひとつの転機になりました。

製麺をやるようになってから、仲間もずいぶん増えましたね。グループは今11店。東京にも2店舗出しています。製麺を頼まれることもあるけれど、その時は麺を卸すだけじゃなくて、店の経営まできっちりノウハウを教えてあげなきゃならない。うちの麺で失敗させたくないんです。別にそれでお金をもらっているわけじゃないから、コンサルタントじゃなくて、あくまでサポーターという感じです。

うちのグループ店もスープは店長に任せています。マニュアルはありません。チェーン店は80点主義で味を均一化するけれど、果たしてそれでお客様の心を本当に打つことができるんだろうか。作り手が納得しないものを作ったって、絶対うまくないんです。

誰が作ってもいっしょのラーメンなんて、作らなくていい。素材が一緒でも、火の入れ方、水から入れるかお湯から入れるかでスープの味はまったく変わってくる。

本当に自分が納得する味をつきつめるうちに、自分がわかるし、そこに近づこうとすることで自分が変わる。自分が変われば周囲の見方も変わってくるんですよね。

モノづくりは人づくりでしょう。人が育たなければ、店舗は増やさない。いつも言うんです。歯を食いしばれって。逃げようと思えば逃げ道はどこでもある。でも、必死になった時の達成感はすごいよって。FCはマニュアルを作る。だから展開も速い。うちはのろいかもしれないけれど、人を作るから、どんな土地、どんな時代、どんな環境にも対応できる強い店になる。これからもずっとそうありたいですね。

燕のらーめんがやってきた

 2003年に東京・池袋の東武百貨店の企画で1年限定の店を出したことがあるんです。もう売上がはんぱでなくて、30席で毎月2千万近い売上でした。新潟の店で月4百万も売上があれば繁盛店と言われるのに。ただ、あまりに厨房が狭くて、1日千人分のスープなんて作れないんです。でも濃縮スープは使いたくないし、納得がいかない味のまま店を続けたくない。売上はあがっても、気持ちの上では失敗でした。

だから、燕の本店を1年間休業したんです。それで8m×4mのプールを買って、作ったスープを氷にして毎日配送しました。どうやってスープの劣化を防ぐか、解凍した時に風味を損なわないで済むのか、実は今回の通販用のラーメンにはその時の経験をすべてつぎ込んだんです。

2005年に東京の蒲田に店を出した時は、調理場を広くして、スープをきちんととれるようにしました。デパートの経験は本当に、いろんな勉強になってますね。

2004年に中越地震、2007年に中越沖地震。ちょうど、東京進出している間に、地元で2回も大震災が起きて、中越沖では柏崎店もだいぶやられました。周りは戦争の跡みたいでしたよ。その時、本当に全国からボランティアの人が集まってきてくれましてね。彼らや被災者の人たちに炊き出しをしながら思ったんです。自分は食でこの人たちに感謝の気持ちを伝えるしかないんだって。

そしてその後「新潟、がんばってるぞ!」って、コンビニとタイアップして「潤」のカップ麺を出して、東京に店を出しました。これからは全国に燕伝統の「背脂ラーメン」を伝えていきたいです。背脂、太麺、煮干しが効いたラーメンをもって、「燕のラーメンがやってきた」といろんな県で言われるようにしてみたいですね。それが、先人と、地震の時に支えてくれたいろんな人たちに俺ができる「感謝」なんだと思うから。

今回の通販ラーメンもそんな思いをこめて開発したので、ぜひ、試していただきたいです。そして意見が欲しいです。いろんな土地のいろんな人に教わって、少しでもいいものを届けたい。そうやって一麺入魂の、思いが通じるラーメンに育てられれば、俺は本望ですね。(松本潤一談)

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